こんにちは、フランス音楽留学アドバイザーの袴田美帆です。
フランスに音楽留学をしたい!と思ったけど、日本の音楽大学(以下:音大)との違いが分からない!という方もいるのではないでしょうか?
フランス語で書かれたサイトを検索することも出来ますが、周りにフランスの音楽院について詳しい人や留学経験者の方がいない場合、なかなか的確な情報を入手出来なくて不安になりますよね。
今回は、フランスの音楽院について分かりやすく解説します。
フランスの音楽院は日本の音大と一緒?
まず、フランスの音楽院は日本の音大と同じなのでしょうか?
結論から言うと、フランスのほとんどの音楽院は日本の大学と同じではありません。
一部の音楽院のみが、日本の大学と同等の高等教育機関となっています。
フランスにおける「音楽院」とは?
音楽院(Conservatoire コンセルヴァトワール)は、音楽、ダンス、演劇を専門とする公の教育機関。
なんと、音楽院はフランス 国内に約500校もあるんです!
フランスの音楽院の目的は、音楽・ダンス・演劇における公教育を全国規模で強化すること。
全ての人に、質の高い専門的な芸術教育が受けられることを保証し、豊かな人材育成を目指します。
また、芸術系の高等教育機関へ進むような人材輩出も促進します。(フランス文化省公式サイトより)
フランス国内の音楽院は、国立高等音楽院、公立音楽院 (地方・県立・地方圏立・区立ほか)等、管轄ごとに種類が分かれています。
ポイントは、 生徒のほとんどが習い事として通っている「子どもたち」 だということ!
音楽大学に相当するのは、パリとリヨンの国立高等音楽院2校のみ。
それ以外の音楽院では一部の限られた「課程」のみで、プロを目指す専門教育が行われているのです。
音楽院の種類と、その課程をもっと詳しくみていきましょう!
フランスの音楽院の種類を解説!
国立高等音楽院
パリとリヨンの2箇所にある、国内最高峰の国立音楽大学。
学士課程、修士課程、博士課程、教員養成課程等、幅広い分野で専門的な音楽教育が受けられます。
パリ・リヨンともに舞踏科も併設され、バレエダンサーやコンテンポラリーダンサーの養成機関としても名高い学校です。
国立高等音楽院で取得できる資格には、以下のものがあります。
・DNSPM (Diplôme National Supérieur Professionnel du Musicien)=国家音楽家専門資格
・学士
・修士
・博士
・DE (Diplôme d’État)=国家音楽教育資格 など
地方音楽院
フランスには、約380もの地方音楽院(県立等も含む)が全国にあります。
子供たちが通うクラス、プロを目指すクラス、大人の習い事クラスまでレベルは様々。
2020年から地方音楽院と大学が提携し、国家演奏家資格や学士号、修士号等を取得できるようになった高等音楽院(国立指定高等音楽院)も10校うまれています。
地方音楽院内にある高等教育機関
2020年、フランス国内にある地方音楽院10校が、国から高等音楽教育機関として指定されました。
通常の地方音楽院よりもカリキュラムが充実しており、これまでパリとリヨンの国立高等音楽院でしか取得できなかったDNSPM(国家音楽家専門資格)や、学士号、教員免許、また近くの大学と連携して音楽学の修士号も取得可能になっています。
地方音楽院内にある高等教育機関で取得できる資格には、以下のものがあります。
・DNSPM (Diplôme National Supérieur Professionnel du Musicien)=国家音楽家専門資格
・学士
・修士(音楽学のみ)
・DE (Diplôme d’État)=国家音楽教育資格 など
私立の音楽院(パリ・エコールノルマル音楽院、スコラ・カントルムなど)
国公立音楽院の学費が1年で1000ユーロ(約16万円)以下なのに対し、私立音楽院では3000-7000ユーロ(約50-110万円)以上かかってきます。
最近ではオンラインで選考・入学手続きを行うこともできるので、日本にいながら簡単に登録できます。
また、私立音楽院には定年退職の制度がないので、他の音楽院退職後の有名な先生が、私立音楽院で教えていらっしゃることも多いです。
師事したい先生が、私立音楽院でしか教えていない場合もあるので、迷われている方は一度ご相談ください。
一般的な音楽院の課程 (Cycle) について
音楽院は、初心者の子どもたちが通う、第1課程から音大レベルの専門課程まで、レベルごとに課程が分かれています。
それぞれの課程では、楽器のレッスンの他にソルフェージュやアンサンブルなども必須で、国で統一されたカリキュラムが組まれています。
また、入学時、学年末、課程終了時には、その都度試験(コンクール=Concours)を受けなければなりません。
音楽院の仕組みは以下の通りです。
※国立高等音楽院は別の仕組みが取り入れられています。
これは、パリとリヨンの国立高等音楽院以外の全ての音楽院で統一されているシステムです。
「プロを目指す課程」は 音楽院全体のごく一部で あることがわかりますね。
音楽院に入学する生徒は、全ての「過程」において、専攻楽器・音楽理論・集団演奏の3つを習得できるよう、カリキュラムが組まれています。
6〜7歳:音楽体験コース
小学校1年生を対象に、音楽院の先生たちがアウトリーチを行ったり、児童たちが学校の先生と一緒に音楽院に来て、楽器体験をしたりします。(※音楽院によって、音楽体験コースの取り組みは様々)
7・8歳ごろ~:第1課程(3~5年)
ほとんどの子どもたちが初心者。期間内に第1課程修了試験に合格すると、第2課程へ進めます。この頃から、飛び級や留年もあります!
中学生レベル:第2課程(3~5年)
第2課程の修了試験では、課題曲1曲と自由曲2曲があり、審査も厳しくなってくるので、留年する生徒も少なくありません。
高校卒業レベル:第3課程(2~4年)
第3課程の2年目の最後に、その上の専門課程を目指すか、それとも音楽愛好家としての最後の課程CEM (Certificat d’Études Musicales) =音楽研究証明書の取得を目指すのかを決定します。
音楽院によっては、それを決定する実技試験も行っています。
専門課程準備クラス(1~2年)
授業内容は、ほとんど専門課程と同じです。
もし、専門課程を受験して不合格になった場合も、このクラスに入学することができます。ただし、ビザの取得に関しては毎年変動するので、確認が必要です。
専門課程(2~3年)
必修単位を取得+卒業試験に合格すると、DEM (Diplôme d’Études Musicales) =音楽研究資格が授与されます
高等教育機関準備課程(2年)
国立高等音楽院や、地方音楽院内にある高等教育課程への進学を目指すコース。
ここの課程に入学しても、希望すればDEMを取得することができます。
音楽院では子どもの頃から実力重視の世界
課程の進み方は人それぞれで、飛び級や留年も当たり前!
そしてなんとも厳しいことに、期間内に課程を合格しなければ 途中でやめなければならない!ということもあるんです。
音楽院は定員が決まっていて、入りたくても入れない人が沢山います。
つまり「しばらく続けて上手くいかない人は、他の人に席を譲ってくださいね」 ということ。 フランスらしい 実力主義の世界です。
一般愛好家クラス
フランス音楽院への留学で、意外と知られていないのが一般愛好家クラス。
フランスでは、年齢関係なく趣味としてでも音楽院に通うことができるんです!
一般愛好家クラスへの留学は、こんな方におすすめ
・楽器は趣味だけれど、フランスで専門的に音楽を学んでみたい方
・仕事や一般留学でフランスに行く予定で、現地で楽器を続けたい方
・転職や退職のタイミングで、留学をしてみたい方
Music Discoveryでは、プロを目指す学生の方やフリーランスの方だけでなく、趣味として音楽を楽しんでいる学生の方や、社会人の皆さまの留学もサポートしています。
自分に合った音楽院の選び方
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