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コロナ禍に大学院を休学し、留学を決意。ピアノとエクリチュールを学び、現在大学院へ復学中!ピアニスト・古谷華梨インタビュー#9

皆さんこんにちは、Music Discoveryアドバイザーの袴田美帆です。

今回インタビューさせていただいたのは、日本の大学院を休学して渡仏、パリ国立高等音楽院のピアノ科を修了し、現在はフランス独特のエクリチュール科で研鑽を積まれている、古谷華梨さん。

同時に複数の音楽院で学ばれたというアクティブな経験や、留学中のアルバイト事情まで、さまざまな体験についてお伺いしました。

また、現在は日本の大学院に復学されているため、日本の大学を休学して留学したい方にとっても参考になるのではないでしょうか。

古谷 華梨 Karin Furutani
兵庫県立西宮高等学校音楽科を経て京都市立芸術大学音楽学部ピアノ専攻卒業。同大学大学院音楽研究科修士課程在学中に松本・土井アイリン海外留学助成金を受け渡仏。パリ国立高等音楽院第2課程(修士課程)ピアノ科を卒業。現在同エクリチュール科、パリ地方音楽院伴奏科に在籍。京都市立芸術大学大学院音楽研究科修士課程に復学。第48回フランス音楽コンクールピアノ部門第1位。第13回マイエンヌ国際ピアノコンクール(仏)3位、合わせて若い聴衆賞及び1960年以降の作品の演奏に対する特別賞を受賞、他国内外のコンクールにおいて入賞多数。平成30年度青山音楽財団奨学生。

目次

留学のきっかけ

マレ地区にある、大きなメレンゲ付きのレモンタルトが有名なカフェ。

袴田:まず、留学のきっかけから教えてください。

古谷:はい。私の母が大学時代に仏文学科を専攻していたのと、中学生のときに、母と祖母と旅行で行ったこともあって、フランスにもともと親しみはありました。

でも、その時はもちろん留学なんて考えてなかったので、直接のきっかけになったのは、大学2年生の時に京都フランスアカデミーに参加したことですかね。

当時はまだ、大学卒業後は就職も含めて広く可能性を考えていましたが・・・

その後、大学4年生の夏に、フランス・ティーニュのアカデミーに参加しました。

そこで、フェルナンド・ロッサーノ先生のレッスンを聴講したときに、この先生のもとで勉強したい!と思ったんです。

袴田:そうなんですね!その後すぐに留学されたんですか?

古谷:いいえ、もっと日本でピアノを勉強してから行きたいと思ったので、その後大学院に進学しました。

そして大学院1年の夏に再びティーニュに行ったときはロッサーノ先生のクラスに参加し、彼のレッスンを初めて受けました。

講習会中のレッスンもとても良かったのですが、生徒として直接習いたい!という思いも強くなったので、すぐに受験・留学準備を始めました。

ですがその時ちょうど、コロナ渦になってしまい・・・

袴田:そのタイミングでしたか!当時の受験はどのような感じで行われたのですか?

古谷:彼はパリ国立高等音楽院(以下CNSM)のアシスタントと、サン=モール=デ=フォッセ地方音楽院(以下サン=モール)の教授をされていたので、2019の秋にその2校を受験する事を決めました。

それで2020年の2月、ちょうどコロナ禍直前CNSM(修士課程ピアノ科)を受験したのですが、その時は補欠だったんです。

なので、引き続きコロナ禍の中でしたが、サン=モールを7月にビデオ受験し、そこでは受け入れ許可をいただいたので、渡仏のための手続きを始めました。

袴田:それは、大学院2年目の秋に渡仏、ということですか?

古谷:はい、院2年目の後期を休学してフランスに来ました!

突然の連絡で、現地についてから留学先を変更?!

CNSMピアノ科卒業試験

古谷:フランスに着いてからは、予定通りサン=モールに入学する準備を始めていたのですが、ちょうどその時にCNSMから連絡があり、ロジェ=ムラロのクラスに空きが出たので、入学しますか?という連絡をもらったんです。

袴田:新学期直前の補欠合格ですね!

古谷:はい、結局ロッサーノ先生がアシスタントを務めていらっしゃるクラスではなかったんですが、先生もCNSMに入ることを勧めてくださったので、CNSMに入学することにしました。

袴田:古谷さんがCNSMに来られたとき、まさかそんな流れだったとは!

ピアノ科を修了後、フランス独特の学科 エクリチュール科に入学!

CNSMの練習室

袴田:ピアノ科を修了された後は、エクリチュール科に進まれたとのことですが、エクリチュール科に入ろうと思ったきっかけはありますか?

古谷:元々フランスの音楽理論には、すごく興味があったんです。

それで、フランスに行くなら、音楽理論もしっかり学びたいと思っていて。

フランス人って、すごくロジカルな人たちじゃないですか。音楽がどのように成り立っているのか、理論的な面からも勉強することに、興味があったんです。

あと、学部生の時に、CNSMのエクリチュール科で勉強した経験もある作曲家、三善晃さんの作品を演奏したのですが、その時に、自分の中で彼の作品がとてもしっくりきたので、彼がフランスで勉強してた「エクリチュール」を、機会があればぜひやってみたいと思っていました。

袴田:エクリチュール科に入学するタイミングは、どうやって決められたのですか?

古谷:実はCNSMエクリチュール科の入試ってちょっと変わっていて、副科としてのエクリチュールの授業の学年末試験が、エクリチュール専攻科の入試にもなっているんです。

その学年末試験でトレビアン(秀)の評価をもらえると、エクリチュール科に入学できる、というシステムで。

なので、入試のつもりで受けたわけではありませんでしたが、私が受けたエクリチュールの授業の学年末試験が「トレビアン」だったので、エクリチュール科に入学することができたんです!

袴田:すごい!私もエクリチュールの授業は受けていたのですが、学年末試験でトレビアンの成績には程遠かったです・・・笑

語学準備について

配信コンサートの「ペレアスとメリザンド」。2020年、コロナ禍での留学一年目は知り合いも少なくて、隣人との会や配信コンサートが心の支えでした。

袴田:フランス語の準備はどのようにされましたか?

古谷:大学1年生の時から、大学の第2外国語でフランス語を履修していました。

最初の2年間で一通りの文法をやって、その後はコミュニケーションの練習をして・・・というような感じですね。

大学入学当初からフランス留学は意識していたので、大学4回生の段階でA2、大学院1回生の間にB1を取理、CNSMの修士課程に入学するためにもB2が必要だったので、日本で出来る準備はしていきました。

フランスに着いたら全然喋れませんでしたが・・・

袴田:でも、それだけ勉強していたらだいぶ違いますよね!

古谷:そうですね。周りの言っていることは大体理解できたので、最低限のことは大丈夫でした。

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音楽院の課程に関する情報がもっと広まれば・・・

現代音楽クラスのコンサート。「鏡」の関係をテーマに、プッチーニの蝶々夫人とGérard PessonのButterfly‘s note bookを対応させました。

袴田:留学される時に、こんなサービスがあったらよかったなと思ったことはありますか?

古谷:国立・区立・地方など、音楽院の種類に関する情報を自力で集めることはかなり難易度が高かったので、留学を考える段階で、もっと楽に情報が集められたらよかったのになと思います。

CNSMのようなトップ校だったり、自分の興味のある先生が決まっていれば、そこの学校に絞れるのでいいと思うのですが、そうではない人の方が多いと思うので。

袴田:それは私もフランスに来てから実感しました。

こんなにたくさんの選択肢があったんだ!って後から気づきますよね。

古谷:そう!課程の言い方とか、課程ごとのレベルとか、入試情報とか、音楽院ごとに違うんですよね。

年によっても全然違ったりしますし。

そもそも公式ホームページも、その音楽院ごとでバラバラだから、本当に見にくいし探しにくくて・・・

あと例えば、フランス語が堪能な仏文科やフランス語科の人で、音楽も勉強したい人だったら、近隣の大学と連携していて国家資格の取れる地方音楽院(高等音楽院)も、その人の選択肢に入るかもしれないじゃないですか。

そこで取得できる資格ってすごく強みになるし、演奏技術にとらわれなくても、目指せるところを目指していけばいいと思うんですよね。

袴田:同感です!今ある可能性を、より広い視野で見られるように、私たちももっと情報発信していきます。

区立音楽院で学ぶ伴奏科、そして他にも・・・?

「サント・シャペル」にて合唱のコンサート。

袴田:古谷さんは、ピアノ、エクリチュールの他に、伴奏も学ばれているとのことですが、伴奏科について少しお伺いしてもいいですか?

古谷:はい、伴奏科は留学2年目からパリ13区音楽院で勉強しています。

フランスってピアノソロだけでなく、いろんな角度から音楽を学べるところが本当にいいなと思ってるんです。

やっぱり、ピアノソロで学べることは限りがあると思うので、エクリチュール科でピアノだけではなく幅広い音楽に理論的に向き合ったり、伴奏科では実戦的に数をこなしたり、他の楽器と弾くことで新しい音の種類を見つけたりして、すごく勉強になっています。

実はこの他にも、郊外の音楽院で歌曲伴奏を学んだり、また別の音楽院で現代音楽を学んだりもしていて・・!

全ての音楽院が、課程に入学して、試験を受けて、資格取得するわけではありませんが、レッスンだけその音楽院で受けさせてもらったりしています。

袴田:その探究心と行動力が素晴らしいです!

古谷:というのも、普段のレッスンの中で「伴奏をもっと勉強したい」とか、「現代音楽をもっとやりたい」と言うと、先生がまた色んな先生を紹介してくださるんですよね。

袴田:そう!それはフランスでよくありますよね!

今思えば、なんて恵まれた環境だったんだろう・・・と実感します。

古谷:はい。あと、音楽院が公立でお金がかからないことと、パリというどこにでもアクセスしやすい環境だからこそ、実現できたことだなと思います。

留学中のアルバイトについて

飲食店でのサービスの仕事は、音楽漬けから解放される時間でもあります。

袴田:留学中、何かアルバイトはされていますか?

古谷:はい!1年目の終わりから、串カツ屋さんのホールで、週2日、17時から23時半ごろまでバイトしています。

勤務時間内に賄いも出るし、一緒に働く人の中には語学留学の学生さんや、ダンサーさん、ファッション関係の方など、音楽院では出会えないような人たちと出会えるので、とても楽しく仕事しています。

他には音楽院の伴奏員として、週に数時間の契約を持っています。

あとは、リトミックのような感じで3歳から5歳の子にピアノを教えているのと、合唱の伴奏にも行っています。

袴田:学業にお仕事に、毎日とても忙しそうですね!

古谷:はい、バカンス中以外、休みの日はありません(笑)

でも、私は忙しい方がスイッチが入るから、それが出来るうちになんでもチャレンジしたいんですよね。

大学院に復学するタイミングと、今後の学び

ポルトガルのコンクールにてオーケストラとの共演の様子

袴田:現在、休学していた大学院2年の後期に復学されたとのことですが、このタイミングで戻ろうと思ったのはいつ頃ですか?

古谷:今年の3月から4月に決めました。きっかけは、CNSMの伴奏科の受験に全て落ちてしまったことなんですが・・・(笑)

フランス生活にも慣れないうちから3年間、毎年新しい学科に入学し続けていたので、4年目にしてようやく、落ち着いた時間が取れるなと思ったんです。

袴田:そうだったんですね。京都市立芸術大学は、何年間休学出来るんですか?

古谷:基本的には2年までですが、高等教育機関に在籍する場合は、さらに2年延長できます。

私は大学院2年目の後期から3年間休学しました。

袴田:留学と院を両立できるシステムでよかったですね!復学してからはまたフランスに戻られますか?

古谷:はい!まだエクリチュール科も続くし、他にもまだ勉強したいことがあるし、それにチャレンジできる年齢でもあるので、頑張りたいと思っています。

袴田:今後学びたいことについて、お伺いできますか?

古谷:はい。伴奏科をもうちょっと頑張りたいと思っています。

去年受験した器楽伴奏、歌曲伴奏科にはもう一度チャレンジするつもりで、バレエ伴奏科にも興味があります。他の楽器と演奏するのも好きだし、歌も好きで郊外の音楽院に学びに行っているし、バレエは私も10年間やっていたので・・・!

とにかく出来るうちに、楽しくやれることに集中したくて。

その時の自分が、いいなと思ったことを取り入れながら、毎日が充実するように、流れに身を任せていきたいです!

袴田:どんどん世界が広がりますね。うまく行くよう応援しています!

留学したい人へメッセージ

私のピアノ科修了と同時にロジェ・ムラロ先生も退官。記念にクラスの全員で音楽祭に参加した音楽祭のアンコールの練習。

袴田:最後に、これから留学したい人に向けてメッセージをお願いします!

古谷:留学するって大変なことだけど、もし留学したいという気持ちがあるなら、その気持ちを大切にしてぜひ留学につながる行動に移してほしい!

そして、フランスは本当に色々な可能性があるので、各々が自分に合うスタイルを見つけて充実した留学生活を目指してほしいなと思います。

勿論大変なこともたくさんありますが、私は留学先にフランスを選んで良かったなと思っています。

あと語学は大切なので、とにかく頑張ってください!応援しています!

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