舞台関係者のお仕事って、単発の契約が多いですよね。
フランスでは、そんな幅広く活動する舞台関係者の収入を保証するために、Intermittents du spectacle(アンテルミトン デュ スペクタクル)という制度があるんです。
この投稿では、そんなIntermittents du spectacleの制度についてご説明します。
Intermittents du spectacleの概要|なぜ失業保険なのか?
まず、この制度の名前に使われている Intermittentという単語は「断続的」という意味です。
アーティストの仕事って、コンサートごとの単発契約が多い=断続的ですよね。
この制度は、そんなアーティストたちが1年間に一定数の出演契約を証明できると、仕事がない期間にもお給料が受け取れるという、夢のようなシステム。
仕事がない期間を失業者扱いにすることで、失業手当が支給されるという仕組みです。
失業手当の額は人それぞれで、その人の実績から日給が自動で計算されます。
Intermittents du spectacle に登録できる条件
この制度を享受できる条件として一番の基準となるのが、雇用契約終了までの12 か月間で、少なくとも 507 時間の労働時間が証明できること。
この項目をクリアすれば、ほとんどの人がIntermittents du spectacleに登録できます。
※ただし、無期限雇用契約のある方(オーケストラに所属していたり、音楽院で最大時間数働いている方)は、この制度の対象外です。
その他の条件は下記のとおりです。
・求職者として登録されていること。
・積極的かつ永続的に仕事を探す姿勢があること。
・仕事を遂行するのに必要な体力があること。
・前職を自主退職していないこと。
・満額年金を受け取るために必要な法定退職年齢に達していない、または年金受給対象年齢(67 歳)に達していないこと etc.
詳しく知りたい方は、こちらの公式ページをご覧ください。
学生ビザは不可!どんなビザを申請するの?
このIntermittents du spectacle、フランス人であれば学生のうちから登録して、経済的に自立している人がたくさんいます。
ですが、そう簡単にはいかないのが外国人留学生。
そう、ビザ問題です。
Intermittents du spectacleは、学生ビザでは登録できません。
それでは、働く人が一般的に取得している「就労ビザ」でしょうか?
それも違います。
前述の通り、Intermittents du spectacleは失業保険に相当するため、働くことが保障された上で取得できる就労ビザを持っていては、当然ながら話が矛盾してしまいますよね。
では、Intermittents du spectacleに登録できるビザの種類は・・?
それがPassport talent(専門職の人向けのビザ)です。
音楽活動を主な収入源とする人は、その中でもProfession artistique et culturelle(芸術文化従事者)を選択します。
Passport talentの申請条件は職種にもよりますが、芸術文化従事者の場合、主に下記の2点が重要視されるポイントです。
- フランス国内で専門の修士号以上を取得していること、またはそれに相当するディプロマを持っていること。
(※フランスは、音楽分野に限らず、とても顕著なディプロマ社会です。もし留学した後にフランスで活動したい!と思っている人は、留学先で取得できる資格をよく確認しておきましょう。) - 最低賃金の70%の収入があると証明できること。
また、フリーランスとしての収入が多いのか、音楽院の伴奏員など、従業者としての収入が多いのかにもよって、申請方法も変わってくるので、細かい点はそれぞれご確認ください
詳細は公式サイトから確認できます。
まとめ
フランス特有のIntermittents du spectacleについて、少しでもお分かりいただけましたでしょうか?
日本にはないシステムなので少し難しいかもしれませんが、文化が発展している国のアーティスト支援制度から学ぶこともたくさんあります。
興味のある方は、是非色詳細を調べてみてくださいね。