フランスで音楽家や俳優、ダンサーなどの舞台関係者として活動していると、単発の契約やプロジェクトごとの仕事が中心になりますよね。
そんな不安定になりがちな舞台芸術の収入を支えるために、フランスには 「Intermittents du spectacle(アンテルミトン・デュ・スペクタクル)」 という特有の失業保険制度があります。
この制度は、一定条件を満たしたアーティストや技術スタッフに対して、仕事と仕事の間の収入を保証するもの。
フランスで芸術活動を考えている方や、留学をきっかけに現地で働きたい方にとっても知っておきたい重要な制度です。
本記事では、この Intermittents du spectacleの仕組みや対象者、申請方法 についてわかりやすく解説します!
Intermittents du spectacleの概要|なぜ失業保険なのか?

「Intermittent」という単語には「断続的」という意味があります。
その名の通り、アーティストの仕事はコンサートや舞台ごとの単発契約=断続的な働き方が基本。
Intermittents du spectacle(アンテルミトン・デュ・スペクタクル) は、そんなアーティストたちを支えるフランス特有の失業保険制度です。
この制度では、年間で一定数の出演契約(507時間以上の労働)を証明できれば、仕事がない期間も「失業者」として扱われ、手当(失業給付)が支給されます。
金額は人によって異なり、それまでの契約実績に基づいて日給が自動計算される仕組み。
「フリーランスで仕事が途切れても収入がゼロにならない」という、まさにアーティストにとって夢のような制度ですね!

Intermittents du spectacle に登録できる条件

一番大きな条件は、雇用契約終了までの12か月間で、少なくとも507時間の労働を証明できること。
これをクリアすれば、多くの人が登録できます。
ただし、無期限雇用契約(例:オーケストラ正団員や音楽院で最大時間数勤務している人)は対象外。
その他の条件は下記のとおりです。
・求職者として登録されていること。 
・積極的かつ永続的に仕事を探す姿勢があること。 
・仕事を遂行するのに必要な体力があること。 
・前職を自主退職していないこと。
・満額年金を受け取るために必要な法定退職年齢に達していない、または年金受給対象年齢(67 歳)に達していないこと etc.
詳しく知りたい方は、以下の公式ページをご覧ください。

学生ビザは不可!どんなビザを申請するの?

フランス人であれば、学生のうちからこの制度に登録し、経済的に自立する人も少なくありません。
しかし外国人にとっては ビザの種類が大きな壁 になります。
Intermittents du spectacleは 学生ビザでは登録不可 。
かといって、一般的な就労ビザでも登録できません。就労ビザは「働くことが保証されている人向け」なので、失業保険と矛盾してしまうからです。
では、どんなビザが必要か?
それが 「Passeport Talent(パスポール・タロン)」 と呼ばれる滞在許可証。
芸術家の場合はその中でも Profession artistique et culturelle(芸術文化従事者) を選びます。
申請条件の主なポイントは:
- フランス国内で修士号以上、または同等のディプロマを取得していること
- 最低賃金の70%以上の収入を証明できること
また、演奏家としてのフリーランス収入が多いのか、伴奏員など雇用契約ベースの収入が多いのかによって申請方法も変わります。
詳細は公式サイトからご確認ください。

まとめ
フランス独自の制度 Intermittents du spectacle は、断続的な働き方をするアーティストや舞台関係者にとって、強力な生活支援システムです。
日本にはない仕組みなので一見わかりにくいですが、文化を大切にするフランスだからこそ整備された制度ともいえます。
フランスでの音楽活動や芸術活動を真剣に考えている方は、留学やディプロマ取得と合わせて、ぜひこの制度についても調べてみてください。

















